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ミステリや恋愛ゲームetc.の感想をゆるっと書いているブログ

怪しい店/有栖川有栖

読んでしまうのが(初読の作品が減っていくのが)もったいなくて我慢していた作家アリス短編集。
いつもの殺人事件捜査に関わる話と、倒叙ミステリ・日常の謎解き系どちらも楽しめた一冊でした。ミステリとしては『古物の魔』が一番好き。

日常の謎解き系の『潮騒理髪店』は血生臭いミステリではなくて珍しい感じ。
作中でも配役の話を冗談でしていますが、火村の体験をアリスが脳内上映・執筆したって体で読むと、火村とアリスの長年の関係があるからこんなに面白くなるんだろうな~と。(いう妄想をしました。)

『ショーウィンドウを砕く』はドラマで既に見ていたので社長のモノローグが全て宅麻伸で脳内再生されてしまった…。
ドラマの火村は(狂気を孕んだような)危うさが倍増して描かれていた気がするので、最後の「~決行が一日遅かったな」が火村が実際に発した発言のように感じたけど、犯人が火村の目を見て感じたことだったんですね。
作家アリスは「犯人側から見た火村」の描写がとても好きです、火村の内面にある昏いものに犯人の心理が呼応することもあるのかなあ、とか。
今回は『怪しい店』のコマチとアリスの会話のなかでアリスの火村(とその内面や研究)に対する気持ちが語られているのもあって、火村&アリス大好きな人間としてとても良かった~。

有栖川有栖の小説は街の描写が好きなので『古物の魔』も骨董市の描写とアリスがウオマサで切り子を購入するまでの流れも楽しめました。現場に行くときの電車とか風景の描写も好きです。

そして烏賊川市キャラ登場の東川篤哉の解説、同人的なノリを感じた…クロスオーバー系になるのかな、面白かったです。